185号 幸せの円周

1.今回(185号)は、「幸せの円周」です。
 御自身の周りに円をイメージし、恵まれていることを円上に乗せてゆきます(健康であること、家庭が円満であること、適度な貯金があること、職場が平和なこと、子供が真面目なこと、・・・・)。
 忘れていた「恵まれている点」が如何に多いか分かってくると思います。やがて、ココロが明るくなってくるでしょう。
 万が一、ココロがそれでも回復しないなら、逆に、他の人になったものとして、不運な出来事(飢餓、激痛、寝たきり、破産、殺害される可能性、アウシュビッツへの収容、別離・・・・)をイメージして、円周に並べます。
 その上で、どちらの円の中心にいたいかを考えてみます。

当番弁護(万引き)

 スーパーマーケットで万引きをして警備員に声をかけられた場合、どうすればよいか?
 先日、スーパーマーケットで万引きをして警備員に声をかけられ万引きの事実を否認し、警察に逮捕された方(以下、「本件被疑者」といいます。)から、当番弁護の依頼がありました。
 当番弁護とは、身体拘束をされている被疑者・被告人や家族等から、弁護士会に接見の依頼があった場合に、当番弁護士が1回だけ無料で接見に赴き、被疑者・被告人の相談に応じる制度です。
 警察により逮捕されると警察官による取調べがあり、48時間以内に検察庁に事件が送られます。これを送検といいます。
 検察官は、それから24時間以内に簡単な取調べをしたうえで、勾留の必要がある場合は、裁判所に勾留請求をします。
 勾留の請求がされると、裁判官が、勾留質問をし、勾留するかどうかを決めます。
 勾留が認められると、原則として勾留請求された日から10日間以内留置されます。その間に捜査が終わらない場合は、さらに10日以内延長されることがあります。
 万引きとは、刑法235条の窃盗罪にあたり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
 当然ながら、万引きをしてはいけません。
 しかし、万が一、魔が差して万引きをして警備員に声をかけられた場合、逮捕されたくないのであれば、素直に万引きの事実を認めるのが得策であると考えます。
 仮に、万引きの事実を否認して警察が呼ばれ、警察にも否認した場合には、警察署への任意同行を求められ、その後逮捕されてしまうケースが多いものと思われます。
 本件で被害にあったスーパーマーケットの店長は、本件被疑者が素直に万引きの事実を認めていれば、警察を呼ぶことはなかったと仰っていました。また、仮に警察が呼ばれたとしても警察に対して万引きの事実を認めれば、他の事情にもよりますが逮捕される可能性は低かったのではないでしょうか。
 本件被疑者は職場の電話番号などがわからなかったため、職場に休む旨の連絡ができず、無断欠勤となってしまいました。
 スーパーマーケットとの示談は、上述のとおり当該スーパーマーケットでは万引きをしても警察を呼ぶことは少なく、本件では警察が呼ばれるほど悪質であったと考えられるから、本件で被害弁償や示談を受けることはできないとして、できませんでした。
 本件被疑者は、結局、勾留満期に処分保留で釈放されましたが、職場には復帰できたのでしょうか。
 いずれにしても、万引きをしてはいけませんが、仮にしてしまった場合には、万引きの事実を認めた方が、事実上逮捕されない可能性は高いといえるでしょう。

184号 今天国、今地獄

1.今回(184号)は、「今天国、今地獄」です。
人生は、多くの場面でオーバーラップしていると思います。
例えば、会社をリストラされた方が、美味しいサンマで御飯をいただいているとき。
リストラの苦渋と、秋刀魚御飯の喜びが共存しています。
そのとき、リストラに思考をシフトするか、秋刀魚御飯にシフトするかは、選択の問題と思います。
天国、地獄は、「今このとき」にあり、「今このとき」が続いているのが、人生と私は思います。
もちろん、将来に対する不安が強いときもあります。
そんなとき、例えば、お金に敏感な方でしたら、「こんな心配、一円にもならないなあ。」と考えることも出来るでしょう。                                                        

計画的な事業承継を~中小企業における相続対策~

 昨今、中小企業経営者の平均年齢は約57歳まで上昇し、高齢化が進んでおります。経営者の引退予想年齢は約67歳とみられているため、今後10年の間に、多くの中小企業が世代交代を余儀なくされることとなるでしょう。このような状況から、近時、事業承継をどのように行うかという問題が話題を呼んでおります。

 多くの中小企業の経営者の方は事業承継対策は相続税対策くらいしか考えていないことと思います。しかし、ハッキリ言って事業承継対策が相続税対策だけでは不十分です。
 例えば、経営者が急死してしまった場合、しっかりとした遺言書が作成されていれば良いのですが、事業承継対策をしていなかったとなると、遺言書がない、遺言書に不備があるといったことがよくあります。このような場合、相続人が複数いれば、通常は各相続人に権利があります。遺言書がなければ法律に定められた相続分が各相続人に認められるからです。

 ここで具体例を挙げます、経営者XにA、Bという2人の子がいて(Xの法定相続人はA、Bのみといたします。)、Aは会社の経営に長年かかわってきたが、Bは家出同然に出てしまっていたという例です。Xが普段からAに経営権を譲ると言っていたとしても、Xの遺言書がなければ相続分は通常AB平等です。そうすると、AB間で争いが生じる可能性が高いといえます。遺産分割協議が整えばよいのですが、これがうまくいかなければ家庭裁判所における調停→審判という手続が必要になります。中小企業の場合、経営者の個人資産と会社の資産との区別が困難な場合も少なくありません。事前財産の整理をしておかなければ、遺産分割協議の前に相続財産の範囲を確定する裁判が必要となり、決着までに非常に長い時間がかかってしまいます。そうなると、長期間会社の経営が不安定となり、最悪の場合は廃業という事態にもなりかねません。

 このような事態を防ぐためには民法(相続法)の活用が必須といえるでしょう。
 しかし、民法(相続法)の活用だけでも不十分です。なぜなら、一定の相続人には遺言でも奪えない遺留分という権利が民法上保障されているからです。例えば、先ほどの具体例を前提として、Aを後継者とするために株式を含むすべての財産をAに譲るという内容のXの遺言があっても、通常、BはXの遺産の4分の1を遺留分として民法により保証されているのです。そうなると、例えばXが総議決権数の51%という株式会社の意思決定を行えるギリギリの株式(議決権)しか有していなかった場合、通常Aは総議決権数の38.25%しか相続できませんから、会社の経営権を承継できなくなってしまいます。AとBの仲が悪ければ、会社の経営に重大な影響が生じかねません。

 このような事態を少しでも回避するためには会社法の活用が必須です。具体的には、黄金株の発行や議決権制限株式の発行等が考えられます。これらの制度の導入には定款変更をはじめとする多くの法的手続が必要となります。

 以上のように、事業承継を円滑に行うためには相続税対策のみならず、民法(相続法)と会社法の活用が不可欠です。中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年10月1日施行)の利用も考えられて良いでしょう。

 なお、時間をかければかけるほど、より円滑な事業承継が行える計画が立案可能です。事業承継には長期計画が最適といえるでしょう。事業承継に関する事前コンサルティングのご相談はお早めに。                       

183号 落ち込み遺伝子

1.今回(183号)は、「落ち込み遺伝子」です。

A.重い病気を告げられたり、金欠になったり、恋人にサヨナラされたり、・・・・「不運」と言われる事態のとき、ほとんどのヒトは、落ち込みます。
B.一方、道で転んだら、立ち上がろうとします。落ち込むひとはいないでしょう。自転車の練習で転んでも、おなじで、なんとか自転車の運転に慣れようとします。

A.B.いずれのカテゴリーに入る事態も、健康でありたい、お金がほしい、・・・・、ちゃんと歩きたい、自転車の運転に習熟したい等という「望みが叶えられなかった」ということでは同じです。

では、なぜ、A.とB.のカテゴリーで、ココロの反応が、消極v積極 に分かれるのでしょうか。

小生はこう考えています:
 A.カテゴリーの事態は、「失敗」であり、「不運」であると、子供の頃から、親や社会によって、教育されてしまっている。一方、B.カテゴリーは、親、社会によって、「成功に至るステップ」と教育されている。
 その教育が、大脳に刻み込まれてしまっているので、大人になっても、そのカテゴリーどおりの反応をしてしまう。
 従って、A.に属する事態に直面しても、大脳の回路を切り替えるために、思考、言語、非言語的表現を使って「よし、これで目標達成に一歩近づいた」「電球に向かない材料を、ひとつ、発見したぞ(エジソン)」などとすればよい、と思います。