米川耕一法律事務所

黒い手帳

 もっと幸せに! 158 (楽しい人生への道しるべ)
 黒い手帳
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 代表弁護士 米川耕一 平成18年6月14日

1.今回(158号)は、「黒い手帳」です。30年近く前、私が弁護士に成り立ての頃の話です。中学の同級生のお祝いに歌舞伎町に行きました。夕食を取って、歩いていると、呼び込みがありました。客引きのアンちゃん曰く「お兄さん、寄って行きませんか?お一人様3000円ぽっきりで女の子とたっぷり遊べるよ!」。何とかバーですね。


2.同級生は、建設会社の社員、というよりも、土建屋でしたので、威勢がよく、酔った勢いで「米ちゃん。行ってみたいな。」と。何とかバーは、私も経験がありませんでしたので、「了解!」と意気投合。


3.店へ入ってみると数名の女性以外は誰もいません。比較的広い店でしたが閑散としていました。女性に言われるままに着席。不思議なことに女性が距離を置いて座り、側に来ません。何となく右の壁を見上げると料金表が張ってあり、「コーラ一杯5000円」!! 30年前の金銭でコーラ一杯5000円です! この先の展開は考えただけでゾッとしますね。スキンヘッドやらサングラスが与太りながら出てきて・・・・・。


4.私は、これまで何回も、たった一人で暴力団の組事務所にお邪魔して、示談交渉をしてきましたが、怖いと思ったことは一度もありませんでした。
 咄嗟に、鞄を引き寄せると、「弁護士手帳」を出し、「こういう者だけで、責任者いる?」と女性に聞きました。黒字に金文字が書いてあります。女性の表情がサッとかき曇り、裏の事務所に引っ込んだと思うと、直ぐに引き返してきて、「お代は結構です。」と言います。「それじゃ悪いからボトルをキープするよ。ただし、正価でだよ。」と調子に乗って同級生。後で土建屋仲間を連れて乗り込むつもりだったのでしょう。


5.当時、弁護士手帳はどんなものか誰も知りませんでしたから、私の行動、手帳の色から、女性が「警察が来た。」と経営者=暴力団に言ったのでしょう。


6.この話は様々な教訓を含んでいます。伝聞での話は当てにならない。態度が勝敗を決める。過去の思い込みに脳は支配されている。・・・・・・・。


7.なお、黒い手帳は、車を運転していて後ろから煽られた場合に見せてあげると、煽ったドライバーは、サッと逃げてゆきます。


      以 上   
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