心の傾向性    

 2001年5月30日        弁護士米川耕一

 今回は、「心の傾向性」です。 私たちは、生存のために、生まれながらにひとつのこと(食べ物など)に集中する心の傾向を持っています。加えて、家庭・学校生活でひとつのことに集中するように教育されるのでこの傾向はさらに強化されます。言うまでもなくこれはこれとして重要なのですが、この教育の結果として、マイナスのこと・悪いことにも心が集中してし心まうことになってしまいます。


 お金が十分ないこと、人間関係がうまくゆかないことなどいろいろな不安、恐れにも心が自然に集中してしまうのです。その結果として、不安が実際を遙かに超えて肥大化したり、絶望感に見舞われてしまうこともあります(鬱病に罹患した人にはまじめな人が実に多いのです。)。私は、このような事態を「心がるつぼの中をぐるぐる回っている」「見えない壁の中に閉じこめられている。」などと表現することがあります。

 このような心の傾向は私たちの出生以来の教育や経験によって強化されてきたものであり、また、毎日毎日強化されているので矯正することはなかなか容易ではありません。他方、会社発展の為には、経営者はどんな苦しい状況にあっても明るい気持ちを持ち続けなければならないわけですから、ひとつの訓練と考えて、意識的にそのような心の傾向性を修正してゆかなければなりません。


 以下、そのような心の傾向性を修正するテクニックをお伝えします。自分の心の持ち方を整えること、および、環境を整えることを総合的に行います。

 (1)まずは上述の心の傾向性があることをしっかりと認識する。

 (2)自分を仕事などで忙しい状態に持ってゆく。忙しければよけいなことを考えられないからです。

 (3)悪いことを考えることを止めようとするのではなく、別の積極的なことを考える。例えば、会社の次の目標を設定すること(新規事業など)に精力を注ぐ。同時に二つのことは考えられませんし、明るい目標は気分を爽快にするからです。

 (4)自分は列車に乗っていて、現在のつらいことは車窓の外の過ぎ去ってゆく風景だと考える。全てのことは変化し、過ぎ去ります。それを忘れると再び同じつらい風景を見る結果となってしまいます。

 (5)服装は明るく若々しくする。

 (6)暗い人とつきあわず、明るく若々しく元気な人とつきあう(医師・薬剤師・宗教家など、暗い人と会うのがやむを得ない人は意識をしっかり持つ必要があります。)。

 (7)第三者に悩みをうち明け、意見を聞く。岡目八目の原理です。

 (8)アメリカの心理学者の考案した新しいテクニックですが、いつも輪ゴムを手首に巻いておき、暗いことに心が向かったら輪ゴムを思い切り引っ張って離し、体に痛い思いをさせる。あまりの痛さに傾向性が打ち破られます。
                以 上













             




米川耕一法律事務所
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