天の配剤
 

 2001年9月21日
 代表弁護士 米川 耕一

1. 今回は、「天の配剤」です。天の配剤とはあらゆる物事が人智を越えて適切に配されていることを言います(広辞苑)。

 私はこのごろ特にこのことを強く感じるようになりました。

 振り返ってみますと、一見悪いことのように見える出来事が全体として考えた場合には実は良いことであったという例がたくさんあります。

 たとえば、15年程前のある夜、道を歩いていると生まれて初めて釘を踏みつけました。

 一応クリニックで治療はしてもらいましたが、不思議なことに出血もなければ痛みもありません。

 ところが、後でわかったことですが、翌日ある暴力団員と示談交渉をすることになっていたところ、その人物は粗暴で興奮しやすく、会っていたら危害を加えられたかもしれなかったのです。

 釘を踏むことによってやむなく面会をキャンセルできましたので、危機が回避されたわけです。




2. また、有能で事務所にとって貴重な人物が突然転職したいと言ってきたことがありました。

 そのときは、「困ったな」と思いましたが、突然の転職があってもより有能な人物が必ず現れることがわかってからというもの「彼にとっては新しい出発であるし、事務所にはまた優秀な人が現れる。

 双方にとってこの別れは良いことだ。」とゆとりを持って考えられるようになりました。




3. このようなことから私は、目に見えない存在が、自分の為に、小道具や人物を配して働いていてくれるという確固とした信念をもつようになりました。
 これを私は「天の配剤」と考えるようになったわけです。




4. 天の配剤を受ける為には、どうしても必要なことがあります。

 それは、自分がしっかりした目標を持って、努力を重ねて人生の難関を切り抜けてゆこうとすることです。

 そのような「心的態度」こそが人生のあらゆる場面において天の配剤を受ける状態を引き寄せると私は考えています。




5. 次に覚えておかなければならないことは、自分自身も、また、天によって配剤されているということです。

 ある女性はご子息の教育問題で悩んでいました。いろいろな所で相談はしたのですが、良い結果は得られませんでした。

 そのうち、ストーカーにも悩まされるようになり、私の所に相談に見えました。

 私はストーカー問題を根本的に解決する方法をお伝えしましたが(本シリーズのバックナンバーを御参照ください。)、その方は、その技術を教育問題にも応用し、これを見事解決されました。

 この例では、私自身が天に配剤され、その女性のお役に立つことができたわけです。

 このように、いろいろな人物や物事に出会うことは自分が「出会わされている。」ことでもあることを忘れず、出会わされた以上は日頃の恩義を忘れず、できる限りのことをしなければなりません。


 このように、いろいろな物事、人間との関係性を意識しながら生きることが重要と私は思います。                                      以 上








        







米川紘一法律事務所
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