米川耕一エッセイ もっと幸せに!

2010/02/16 米川耕一エッセイ もっと幸せに!

204号 ホモの涙 神の涙

今回(204号)は、「ホモの涙 神の涙」です。

(シャンソン風に・・・)
      
わたしはホモ
家では 猫と年老いた母とわたしの 三人暮らし

わたしの仕事はダンサー
スポットライトを浴び 一夜の喝采に包まれる

やがて興奮は収まり 幕が降り わたしは舞台から去る
帰り道 夜の闇 
電車の中で 酔っぱらいが からんでくることも

ふと思う わたしの将来はどうなるのだろう
若さは次第に失われてゆく
このまま この仕事を一生できるはずはない
やがて 老いがわたしを ひざまづかせることだろう

神よ なぜ わたしは ホモに生まれついたのでしょうか
人生は苦と楽の綾という
それにしても わたしの悩みは深い 苦悩や不安が人生を圧倒する
神よ 何故ですか
わたしの苦しみは わたしが人生の舞台を降りるまで続くのでしょうか
・・・・・・・・・・・・・

わたしは神
わたしの前に来るのは 苦悩に満ちたひとたちが ほとんど
ときとして そのあまりの不幸に 涙を禁じ得ないこともある



何故 わたしは 全ての人々を救済しえないのだろうか
わたしが救済に立ち上がることは わたし自身が許さない
それは 人々の 成長し続ける意欲を 減衰してしまうからだ
楽園は 実は それ自体 地獄なのだ

わたしは人々に 困難を打開するヒントを与えることまではできる
それが わたしが わたしに課した限界である

ホモよ よく耳をすまし 目をこらすのだ
日常の 様々な出来事の中に 
わたしがあなたに与える生きるヒントがあるのだよ

そして あなたの いまこの一瞬に 無数の存在が凝縮していることも知ってほしい。
あなたを作った食物、その食物を育てた人、太陽、水、種子、調理する人、運搬する人、その家族、家族の祖先・・・・すべてが、いまここにあるのだよ

© 米川総合法律事務所