代表弁護士 米川 耕一 2001年8月8日
1. 今回は「仕事のミス、発展のきっかけ」です。例えば、あなたが部下に5:00までに大変重要なファクス文書を送ることを頼んでおいたのに部下がそれを忘れてしまった場合、あなたはどのような行動に出るでしょうか。
2. 「なんでこんなことを忘れるんだ!」と怒ることも、逆に、「これからは気をつけようね。」とやさしく言うことも余り効果はありません。
3. 人間は完璧ではありませんから、ミスをおかすことがあることは当然であるということからスタートしなければなりません。そのことを忘れるといずれまた同じ事の繰り返しとなって、時間と給与の大きな無駄を招いてしまうのです。
ミスをきっかけとして経営者が考えるべき事は、
(1)なぜそのミスが起きたか、
(2)今後起こさないようにする為のシステムはどうあるべきか、
(3)それでも起こってしまった場合はどうするかなのです。
4. 先程の例で言えば、
(a)仮に送るべき文書が他のファイルに挟まっていて、忘れてしまったということが原因であれば、
(b)対策としては、ファクス送信文書は必ず送信専用のトレーにいれるなどし、さらに、緊急性に濃淡があれば数種類の色違いのトレーを準備するようにします。
(c)それでも多忙で忘れてしまったら、あなた自身が平謝りに謝り、場合によっては、その従業員を同道して手土産持参で謝罪にゆきます。そして、迷惑を掛けた分値引きするなどし、これをシステムとしておきます。
上の(c)のように、(b)のような対策を立てたのに効を奏さなかったときは、その事件を切っ掛けとして、(b)の対策を再検討します。例えばトレーを大きくして目立つ用にする等です。
5. 興味深いことは、このように対策をあれこれ考える際には、当然、担当従業員と協議が進むわけですから、それにより会社をよくしようとする一体感が発生し、結果的に会社の業績向上にも結びつきます。
また、取引先に手土産持参で行き、誠意をもって謝罪すれば、その誠意が相手に伝わって今まで以上に信頼を得ることができることが多いのです。
6. このことを十分理解していれば、仮に多少のミスがあっても、「ころんでも、ただでは起きないぞ。」「このことをきっかけとして社内をもっと改善しよう。」という明るい意欲が湧いてくるはずなのです。
以 上
仕事のミス