労働審判手続

 労働審判手続
  
弁護士 永島賢也 2006年12月15日

労働審判法という法律が制定され、平成18年4月1日から「労働審判手続」という新しい制度がスタートしました。

その特色は、充実した審理を行い、迅速な解決を目指すところにあります。

これは、個々の労働者と事業主との間に生じた生じた民事紛争の手続です(例えば、賃金支払の関する紛争など)。

このような紛争の審理が、3回以内の期日で終結されることになり、まさに、迅速な手続が用意されたことになります。

 * 同法15条2項 労働審判手続は、特別の事情がある場合を除き、三回以内の期日において、審理を終結しなければならない

ということで、この事件の相手方となる側は、第1回目の期日から徹底的に議論できるように準備し、そういう意味で、答弁書の提出期限を厳守しておかなければなりません。証拠もそろえておく必要があります。

 → 答弁書の書式(PDF)

東京地裁では、答弁書が提出されたその後は、口頭でのやり取りが予定されているので、とにかく、議論のテーマは、答弁書の中で出し尽くし、その各テーマの詳細については、そのときまでに証拠とともに口頭で説明できるように準備しておくことになると思われます。この第1回期日のやりとりとしては、1時間くらいはかかるでしょう。大変ですが、一気に片を付けることもできます。

手続は非公開ですが、傍聴が許される場合もあります。

審理の結果、告知・送達される労働審判に異議申立がない場合、その審判には確定判決と同一の効力が認められます(裁判上の和解と同一の効力・民事訴訟法267条)。

もっとも、労働審判がなされる前に、双方に調停が成立して解決される場合もありますし、逆に、労働審判で解決を図るのは適当でないと判断され、または、労働審判に異議が出され、訴訟の準備を進めることになる場合もあり得ます。
その場合、労働審判の記録は、そのまま訴訟には引き継がれないこととなっています。                                                                      
以 上
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