米川耕一法律事務所
マンション管理適正化法って何?

 2002年4月8日 弁護士櫻井滋規 
●マンション管理適正化法とは
平成13年8月1日に施行された法律で、正式な名称を「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」といいます。


 ●マンションの管理問題とその背景
分譲マンションは、都市型住宅として昭和40年代から急速に普及し、現在ではそのストックが約370万戸、その居住人口は約1000万人に達しているといわれています。

 しかしマンションの管理については、種々の問題が発生しています。

 具体的には、マンション内の共同居住ルールが十分に確立されていないため、騒音、ペット、水漏れ、雨漏りといった生活をめぐるトラブルが多く発生しています。

 また、マンションの区分所有者間の意思決定にも問題が生じています。各区分所有者はそれぞれ建物を区分して所有しているため、それぞれの意思をまとめ、合理的な意思決定を行うことが困難となる場合が少なくありません。

 他方、共用部分については、各自が自由に権利行使できないことから、所有意識が希薄で、その管理に対する関心も必ずしも高いといえません。こうしたことから適切な維持管理が難しくなっているのです。


●マンション管理適正化法制定の経緯
このようなマンション管理の問題を放置してしまうと、マンション居住者の生活の安定を損なうのみならず、マンションを含めた地域の住環境にも大きな支障をきたすことになります。
そこで、マンションの管理の適正化を推進し、良好な居住環境の確保を図るため、本法律が制定されました。


 ●マンション管理適正化法の概要
 本法律の概要は次のとおりです。

 1 マンション管理士の資格制度の創設マンション管理士の資格制度を創設し、マンションの居住者等がマンション管理士を活用しやすい環境が整備されました(30条)。

 2 マンション管理業者の登録制度の創設
マンションの管理業者に登録を義務付け、管理業者に最低限必要とされるノウハウ・資質を確保し、管理業の健全な発展を促進するよう種々の規制が課されました(44条)。

 3 マンションの管理組合と区分所有者の努力義務の創設マンションの管理組合に対し、マンション管理適正化指針にのっとった適正な管理に関する努力義務を設けられるとともに、マンションの区分所有者に対しても、管理組合の一員としての役割を果たすよう努力義務を設けられました(4条)。

 4 国及び地方公共団体の努力義務の創設
国及び地方公共団体に対して、管理組合又は区分所有者の支援措置に関する努力義務が設けられました(5条)。

 5 マンション管理適正化推進センターの指定
国土交通大臣は、管理組合によるマンションの自主手金かつ適正な管理の推進を図ることを目的としたマンション管理適正化推進センターを指定することができるとされました(91条)。




*参考文献
 ジュリスト1195号 64頁〜67頁
 マンション管理適正化法(編著 マンション管理適正化研究会)大成出版


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