スーパーマーケットで万引きをして警備員に声をかけられた場合、どうすればよいか?
先日、スーパーマーケットで万引きをして警備員に声をかけられ万引きの事実を否認し、警察に逮捕された方(以下、「本件被疑者」といいます。)から、当番弁護の依頼がありました。
当番弁護とは、身体拘束をされている被疑者・被告人や家族等から、弁護士会に接見の依頼があった場合に、当番弁護士が1回だけ無料で接見に赴き、被疑者・被告人の相談に応じる制度です。
警察により逮捕されると警察官による取調べがあり、48時間以内に検察庁に事件が送られます。これを送検といいます。
検察官は、それから24時間以内に簡単な取調べをしたうえで、勾留の必要がある場合は、裁判所に勾留請求をします。
勾留の請求がされると、裁判官が、勾留質問をし、勾留するかどうかを決めます。
勾留が認められると、原則として勾留請求された日から10日間以内留置されます。その間に捜査が終わらない場合は、さらに10日以内延長されることがあります。
万引きとは、刑法235条の窃盗罪にあたり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
当然ながら、万引きをしてはいけません。
しかし、万が一、魔が差して万引きをして警備員に声をかけられた場合、逮捕されたくないのであれば、素直に万引きの事実を認めるのが得策であると考えます。
仮に、万引きの事実を否認して警察が呼ばれ、警察にも否認した場合には、警察署への任意同行を求められ、その後逮捕されてしまうケースが多いものと思われます。
本件で被害にあったスーパーマーケットの店長は、本件被疑者が素直に万引きの事実を認めていれば、警察を呼ぶことはなかったと仰っていました。また、仮に警察が呼ばれたとしても警察に対して万引きの事実を認めれば、他の事情にもよりますが逮捕される可能性は低かったのではないでしょうか。
本件被疑者は職場の電話番号などがわからなかったため、職場に休む旨の連絡ができず、無断欠勤となってしまいました。
スーパーマーケットとの示談は、上述のとおり当該スーパーマーケットでは万引きをしても警察を呼ぶことは少なく、本件では警察が呼ばれるほど悪質であったと考えられるから、本件で被害弁償や示談を受けることはできないとして、できませんでした。
本件被疑者は、結局、勾留満期に処分保留で釈放されましたが、職場には復帰できたのでしょうか。
いずれにしても、万引きをしてはいけませんが、仮にしてしまった場合には、万引きの事実を認めた方が、事実上逮捕されない可能性は高いといえるでしょう。
2008/11/17
法律研究