法律研究

2020/12/01 法律研究

暮らしの法律相談(医療ミスで父を亡くしました。)

●暮らしの法律相談(朝日新聞法律相談コーナー)2020.12

Q. 医療ミスで父を亡くしました。主治医や病院を訴えたいです。ただ、これまでの医療関係者の方々の心遣いや、負けるリスクを考えると、躊躇するときもあります。どうしたらよいのでしょうか。

A. 医療訴訟を起こすには、まず、カルテ等の入手が必要となります。膨大な量のこともあります。その上で、医師に具体的にどのような 過失があったのか、過失と死の間に因果関係があるのかなどを検討します。その裏付けとなる文献等の調査も必須です。医療訴訟は、数ある訴訟の中でも最も難しい分野のひとつで、膨大な時間を注ぎ込まなければならず専門性の高さも群を抜いています。そして原告勝訴の割合は高くありません。そこで、一歩立ち止まって考えてみるべきでしょう。「何故、訴訟を起こすのか?」と。復讐、賠償金、正義・・・その究極の目的の観点から果たして提訴が妥当かを考えることをお勧めします。

 この例のように、常に、究極の目的から判断することを習慣とすることは、人生という戦場を戦い抜いて行くうえで、とても役立つと思います。

(米川総合法律事務所 弁護士 米川耕一)

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