米川耕一法律事務所

安寿と厨子王

 もっと幸せに! 170 
 安寿と厨子王
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 代表弁護士 米川耕一 平成19年2月19日

1.今回(170号)は、「安寿と厨子王」です。溝口健二監督の傑作です。


2.安寿と厨子王の悲しい話です。
父親が家族のことを考えずに正義感だけに走ったばかりに、裕福な一家が、奴隷の身分に落ち、妻は身を売り、幼い兄弟が明日への希望のない奴隷の生活を送ります。
ある日、妹は、兄を逃亡させますが、自身は、逃亡後の拷問を予期してか、入水自殺。
その後、兄は高い官職につきますが、官を辞し、母を捜します。
ある寒村にたどり着きます。
「安寿恋しやホーヤレホ、厨子王恋しやホーヤレホ」と母しか知らない歌が聞こえてきます。
やがて、厨子王と光を失った母が再会し、抱き合います。
海岸の美しい風景が終景を飾ります。
この風景は、感情の波に翻弄される人間の心との対比となっています。

さて、明日の希望無き人生を送る羽目になった場合、人はどのように生きるべきでしょうか。
父、母、兄、妹の中で、最後まで健康で生き残った兄ですら、途中自暴自棄になりましたが、このとき、兄を救ったのは妹の言葉でした。
盲目の母をこれから助けてゆくのはその兄です。
たった一人で、暗闇から脱出することは本当に苦しいでしょう。
でも、周りにいる人たちの力を少し借りれば、明日への希望が再び燃え上がると信じます。


3.人間社会は、助け、助けられで成立しています。
例えば、私は普段、法律的アシストをしていますが、いったん、怪我をすればお医者様のお世話になります。
そのお医者様が歯痛になれば歯医者さまのお世話になります。
歯医者様は出勤に車メーカー、その設計者、製造者のお世話になっているかもしれません。

この作品は本当に暗い。
そして、この作品からは、いろいろなメッセージを受け取ることができましょうが、私は、人間社会の成り立ち、そして、その成り立ちを仕組まれた神様の存在を教えられたように思います。
         
      以 上   
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