110号
2004年7月13日 代表弁護士 米川 耕一
1.今回(110号)は、「不思議なマンション」です。
私のマンションは不思議な生き物です。
私の部屋は1.2階のメゾネットですが、庭の向こうの隣地には広い桃畑が広がっていました。
春には美しいピンク色の桃畑をあたかも自分の庭のように観賞していたものです。
黒澤明の「夢」の一シーンのようでした。
2.あまりに桃畑が広い一方、日本全体が次第に治安が悪くなってきたので、私は次第に桃畑の広大さに不安をつのらせるようになってゆきました。
桃畑のさらに先の道路から私の部屋ははるか彼方で、空き巣が入っても道路から見えないからです。
3.ある日、突然、桃畑に立看板が立ちました。
何と「マンションの建築計画」です。
マンションが建ってしまうと、日照が遮られるばかりか、ゴミの投げ入れなどの心配も出てきます。
「困った。」と思いました。
ところが、その計画が明らかになってゆくと驚くべきことが分かりました。
そのマンションは警視庁のトップクラスの人たちの高級社宅だったのです。
しかも、私のマンションから遠く離して建物が建ちました。
遠く離れて建ったので日照の問題もありません。
お隣のマンションが建ったおかげで私のマンションの周囲にはいつも警察の車が24時間体制で警戒に当たることになりました。
私の不安に反して、もっとも治安がよい環境ができてしまったわけです。
4.また、私がこのマンションを購入する前、私は血圧が高かったのですが、購入後、劇的に下がってしまいました。
薬など飲まなくても自然に下がってしまったのです。
5.私のマンションは、今、雨漏りが続いています。
補修の結果、改善はされましたがまだたまに漏ります。
実は、雨漏りの直前、私はこのマンションを売却する予定でいました。
しかし、昨年12月の税法改正で損益通算が認められなくなった結果、売却に意味がなくなりました。
それに加えて雨漏りです。あたかも、私のマンションが「まだ手放さないでください。」と言っているかのようなのです。
どんな良いことをこのマンションがもたらしてくれるか私はワクワクして待っています。
以 上
(次)
Copyright © 1999-2004 koichi yonekawa , all rights reserved.