米川耕一法律事務所
2002年1月17日代表弁護士 米川 耕一
今回は、「断る」です。
かつて豊田商事事件というものがありました。
主にお年寄りに甘言を弄して近づき、親密な人間関係を築きあげて断りにくい状況を作り出し、大切にしていたお金をだまし取るという大規模詐欺事件でした。
また、保証人にはならないほうがよいとは分かっていても取引先との関係からやむなく保証人となり、その結果、債務者ともども破綻してしまう例もめずらしくありません。
いやなこと、困ることを上手に断るにはどうしたらよいのでしょうか。
まず、筋道を追って、断った場合は将来どうなるか、断らなかった場合は将来どうなるかを予想してみます。
この予想を冷静にしないでひたすら悩んでしまう人がいるのは残念なことです。
商工ローンの保証人になることを求められたときは、債務者が払えなかったとき、一体自分はいくら支払うようになるのだろうか、ローン会社はどのような取り立てをしてくるのだろうか、それらの事態は保証人になることを断ったときの債務者や取引先との関係を考えてもマシな事態なのだろうか、等々、場合によっては知人、家族のアドバイスを受けながら考えてみることです。
.「断ろう。」という結論になった場合でも、その人との友好的関係をできるだけ維持しようと思うときには「断り方」を工夫しなければなりません。
その方法のいくつかを御紹介しましょう。
(1)建設、不動産業界で昔からよく使われたきた手ですが、相手方から連絡があっても連絡をしない、何事にものらりくらりする、そのうち相手方はしびれをきらし「もういいよ!」と、自分からうち切ってきます。
決して自分からは言い出さないのです。
(2)もうすでに保証人として訴訟を起こされて困っている。
そのことで頭がいっぱいです、裁判の費用を逆に貸してもらえないでしょうか等と言って切り返す。
首尾良く断ることができたら、最後の仕上げをしましょう。
それは、なぜ自分がいやなことを頼まれたかということを考えてみることです。
なんにでも甘い性格だから相手に軽く見られたのではないか、洞察力が足りないと思われているのではないかなどと、その出来事をきっかけとして熟慮してみるのです。
こうすることによって、将来の禍を軽減することが出来、その出来事は有用な意味をもっていたことになるわけです。
以 上
(次)
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