2002年1月23日 代表弁護士 米川 耕一
1
. 今回は、「謝る」です。
私ども弁護士の中にもプライドの高い人と低い人がいます。
プライドの高い人は、例えば交通事故の加害者の代理人になった場合、その依頼者が事故を引き起こしたことが明らかであっても、それについて謝罪をすることは絶対にしません。
2.謝罪をしない結果、相手方との交渉は最初からギクシャクしたものとなり、力と力のぶつかり合いになることも珍しくありません。
首尾良く示談が出来ても不愉快な気持ちは残りますし、交渉中もずっと不愉快な気持ちが続き、最小限の信頼関係も築けない結果、常に疑心暗鬼で相手方と対峙することになります。
3.一方、プライドなど捨てて、示談交渉の最初に心から謝罪をしておけば、相手もこちらの誠意をくみ取ってくれ、示談交渉は、多少の山、谷があっても、円滑に進むものです。
どんな人との示談交渉も楽しみながら進めることが出来るのです。
4.会社経営をしてゆく中で、借入金を返せないとか、賃金の支払が遅れるとか様々な謝罪をしなければならない場面に経営者は遭遇します。
このようなときは、屁理屈を言ったり、カッコをつけたりしないで、まず素直に謝ることです。
「自分は最大限の努力をして金策にまわったがどうしても賃金の手当ができませんでした。本当に申し訳ない。」などと心から謝るのです。
人は感情の動物です。下手な小細工などせずに心から謝罪すればその誠意は必ず相手に伝わり、「社長わかりました。1ヶ月待ちましょう。
頑張ってください。」という言葉が従業員から返ってくるのです。
また、売上向上にはこうしたらいいのではないかなどと従業員が社長に言いやすくもなり、思わぬ良いアイディアが出ることだってあるのです。
5.簡単に謝るとそこをつけ込まれるのではないかという人もいると思います。
しかし、責任がないと言える場合ならともかく、責任が自分サイドにあるばあいにはつけ込まれるものがありませんし、心からの謝罪によって自らの心の内に得られるほのぼのとした温かさはそのような不安を払拭して余りあるものがあります。
6.今までつまらないプライドにしがみついていた人は、会社発展、維持のためにはそれをかなぐり捨てて、例えば、「今日一日はなにがあっても、そして、誰に対しても、素直にあやまろう。」と決めて、実行してみることをお勧めします。
きっと素晴らしい一日になりますよ。
以 上
(次)
Copyright © 1999-2002 yonekawa koichi , all rights reserved.