2003年7月2日 代表弁護士 米川 耕一
今回は「子供を想う親の気持ち」です。
特に深い理由はありませんが、私は子供を持ちませんでした。
一方、数多く手がけた離婚紛争では、親権を巡って夫と妻が熾烈な争いをすることも珍しくありません。
互いに、相手方には子供を立派に育てる能力がないとの主張が闘わされます。
このような主張はもっともなこともありますが、なかには夫または妻自身が、子供がいないと孤独で生きてゆけないという極度の不安感から親権を欲することも多いのです。
親が子供に執着し、親自身が自立出来ていないわけです。
子供の立派な生育を考えているような外形を見せていますが、実は、親の利己的な欲求にすぎないわけです。
このような人間関係は親子関係以外にも見いだせます。
サラ金で苦しむ従業員を助けようと債務整理に必要なお金を出してしまう経営者がいますが、いったん決着をつけても、ほとんどの場合、同じ従業員がまたサラ金に手を出してしまいます。
そのようなことは予想できる事態です。
それでも、支援をしてしまうのは、実は、従業員から「冷たい。」「不親切だ。」などと思われてしまうのではないかという恐怖心からでた行為であることが多いのです。
以上のような不自然な親子関係、不自然な労働関係を解消するにはカウンセリングが必要でしょうが、まずは、自己の行為が本当に相手の立場を思いやることから発したものであるかを内省することがスタートです。
人間と人間の繋がりは、お金などの物質的なものばかりではありません。
自分が自立しているという確信が得られたならば、すでに退社した従業員であっても、大切にしたい、力になってあげたいという気持ちは在職中と何ら変わらないのです。
なぜなら、私達ひとりひとりは、たったひとつの根源的存在から流れ出た支流であり、その表現形式を異にするものにすぎないからです。
以 上
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