医療個人情報

 医療分野の個人情報保護法
  
弁護士 永島賢也 2004年12月16日

 個人情報保護法は、平成17年4月1日、完全な形で施行されます。もっとも、金融、通信、医療の3分野については、特殊性がありまして、同法の一般的な適用が相当であるかどうかについては問題になるところです。

 今回は、医療分野に関することについて触れてみましょう。

 厚生労働省は、平成16年10月、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(案)」(見え消し版)を公開しております。

 その後、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(平成16年12月24日通達)策定されました。

    ガイドライン PDF

    Q&A PDF

    医療情報システムのガイドライン PDF

 ガイドラインとは、法律ではなく、ガイドラインに違反しても、直ちに罰則等の適用があるものではありません。医療分野において、医療機関や患者に個人情報の保護のルールがどのように適用されるかできるだけ明確化しようとするものです。いわば、個人情報保護法の下での「指針」と考えても差し支えないでしょう。

 個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めて、個人情報の有用性と、個人の権利利益の保護とのバランスをとることを目的としています。

 しかしながら、医療分野においては、そのバランスの取り方に特殊性があります。一般論としては、医療情報は、当該個人(本人)にとって、センシティブ情報(機微のある個人情報、一般論としていえば、自らの病気を知られたくないとか、その病気ゆえに差別を受けたくないなどの利益の保護が必要といえます)に当たります。そこで、小規模診療所を個人情報取扱事業者に含める考え方もあり得ます。他方、緊急の感染防止策が不可欠の疾患の場合、患者の情報を秘匿することが妥当でない場合もあります。

 また、医療機関は、外部の医師にその専門分野について、意見の教示を受けるため、患者に関する情報を提供することがよくあります。これを第三者提供の制限に関する例外の規定で対応できるものであるかどうかも検討する必要があるでしょう。

関連情報
 患者情報保護Q&A230
個人情報保護法 
過失(医療)
 ガイドライン見え消し版


以 上
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