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弁護士 永島賢也 2002年10月25日
はたして、今後、我が国においても、「米国型」の会社が生まれてくるのでしょうか?
商法等の一部を改正する法律(改正法)は、平成15年4月1日から施行されることとなりました。
この改正法は、かなり大規模な改正を行っています。
目立つのは、委員会等設置会社制度の導入です。
いわゆる「米国型」か、「従来型」か選択できるというものです。
思い切りよく大雑把にいえば、「米国型」は、各種委員会と執行役があり、代表取締役や監査役はありません。
他方、「従来型」は、逆に、委員会や執行役はありませんが、代表取締役や監査役(会)があります。
「米国型」の取締役は、業務を執行することはできません。
取締役や執行役が受ける個人別の報酬は、報酬委員会で決定され、株主総会での決議はいりません。
これらの部分とってみただけでも、「従来型」を前提とした会社法の常識的な理解をうち砕くに充分であるといえるでしょう。
確かに驚きです。
大会社(みなし大会社)は、この「米国型」か「従来型」かを選択できます。
ところで、取締役は、サラリーマンの出世のゴールともいわれているようです(双六でいう、いわゆる「あがり」のポジション)。
出世する方が多いと取締役の数はかなり増えることでしょう。
取締役の員数が多いため、頻繁に取締役会を開催することが困難になる一方、昨今の経済情勢に鑑み、取締役会の決定を要する「重要な財産の処分及び譲り受け」、や「多額の借財(融資)」をすることにつき、迅速・機動的な対応に迫られることもあり得ます。
このような事情が予測される「従来型」の会社においては、重要財産委員会制度が役に立つと思われます。
というのは、取締役会が、重要財産委員会に対して「重要な財産の処分及び譲り受け」、や「多額の借財(融資)」について決定権限を委任することができるからです(改正法による改正後の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の第1条の3第5項。以下「商法特例法」という。)。
つまり、少なくとも、3人の取締役で決定できることになります。
要件としては、取締役が10人以上いること、大会社(みなし大会社)であること、社外取締役を1名以上おいていることです(商法特例法1条1項)。
なお、重要財産委員会の設置及び委員の氏名は登記事項となります。
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