ドメイン名紛争に関する最近の判決


   2001年5月1日    弁護士 永島賢也

 平成13年4月24日、東京地裁にてドメイン名の使用の差止請求と当該ウェブサイトからの抹消請求を認める判決がなされております。

 当該判決によると、ドメイン名を不正競争防止法上の「商品等表示」に該当すると判断し、不正競争防止法に基づく使用差止請求等を認めています。

 ただし、当該ドメイン名が「商品等表示」に該当するかどうかは、個別の具体的事案に即して使用状況・表示されたページの内容等から総合的に判断して決めるとされおります。

 つまり、ドメイン名の使われ方によっては「商品等表示」に該当せず、不正競争防止法に基づいて差止等を求めることができない場合もあり得るということです。

 ポイントは、当該ドメイン名が、当該ウェブサイトにおいて表示されている商品や役務の出所を識別する機能をも有するにいたっているかどうかにあると思います。

 ドメイン名の登録者がその開設するウェブサイト上で商品の販売や役務の提供について需用者たる閲覧者に対して広告等による情報を提供し、あるいは注文を受け付けているような場合、当該ドメイン名が出所を識別する機能を有し不正競争法上保護される「商品等表示」に該当することになると思われます。

 そのほか、当該商品等表示が「著名性」・「周知性」を獲得していなければなりません。
 
 以上のとおりだとしても、当該ドメイン名が「普通名称等」に該当すると不正競争法の保護は受けられません(同法11条1項1号)。平俗的にいえば、「普通名詞」といえるようなものは保護されないということです。
 更に、当該商品等表示が周知性・著名性を獲得する以前から使用していた場合も同様に保護されません(同法11条1項3号・4号)。

 このような要件をクリアして不正競争防止法によって保護されるとしても、ドメイン名の使用の差止め(当該ウェブサイトからの抹消)を求めるのが限度で、更に、ドメイン名の移転までは認められていません。

 もっとも、新たに次のような判決が言い渡されました。関連するポイントを要約すると次のとおりです。

 
 紛争処理方針のパネル手続による救済の要件が合理的かつ相当なものであることを前提にしたうえで(もちろん、合理的かつ相当なものと考えられます)、登録者は、ドメイン名の移転登録を受けるに当たって、紛争処理方針に従った処理が行われることについて同意しており、そのような法律的地位にあるとすると、登録移転要件に該当する事実が認められる場合には、登録者は、当該裁定に従ってドメイン名の登録を相手方に移転する義務を負うと考えることができます。

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ドメイン名に関する判決
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